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【連載】生産性向上の設計方法 vol1.労働生産性を上げるメカニズム

連載ラインナップ(全3回)

労働生産性とは?定義と計算方法をわかりやすく

労働生産性を導く計算はとても簡単だ。

労働生産性 = 労働による成果 ÷ 労働量

この式で成立する。
言い換えると、労働生産性=アウトプット÷インプットというシンプルな図式と言えるだろう。労働量に対して成果が高いほど労働生産性が高いことを示し、よく耳にする「日本は世界的に労働生産性が低い」という言葉をこの式に当てはめるなら、「労働時間長い割に大したアウトプット出してないよね」と解釈できるだろう。

「労働による成果」とは何を指すのか

労働生産性とは、インプット(労働量)に対してアウトプット(成果)がどれほどかで示されるとお話したが、アウトプットとは具体的にどのような指標をさしているのだろうか。

大きくは2つの指標が使われている。
1つ目は、「日本の生産性は低い」議論で用いられている成果。ここでは成果をGDP(国内総生産)を使って語られている。

名目GDP = 個人消費 + 総輸出 + 政府の支出 + 民間投資

という、非常にわかりにくい計算式で表している。また、私たち1人1人の働き方・生産性の話とは視点がやや違うため、参考程度にしていきたい。

私たち1人1人の生産性を示す際に、一般的に活用されているのが「付加価値額」という指標だ。これを言い換えると「粗利」が最も近く、整理すると下図のようになる。

労働生産性を上げるメカニズム

まず、大枠としての構造の話をすると、①成果を高める、②リストラ等で人件費(労働量)を減らすのが、労働生産性を上げるメカニズムと言える。

ここで注意したい点がいくつかある。労働による成果とは付加価値であると説明したが、付加価値の中には人件費が含まれている点だ。

つまり、労働生産性を高めるということは、1人1人の社員(分母)の観点で、安い給料で小さい利益を生む仕事よりも、高い給料で大きい利益を生む仕事にできているかどうかとなる。

多くの日本人が労働生産性を間違って理解している

「残業時間を減らそう」
「もっと生産性を高めていこう(作業スピードを上げていこう)」

と日頃聞くこの言葉は、労働量にしか目がいっていないことが多い。全くダメだとは言わないが、その視野では大した結果の望めない取り組みになるだろう。(働きすぎの社員が心身の安全性を高めるという点では効果は高いかもしれないが)

もっと「成果を高める」部分に視点が移らないと真の生産性向上は難しいと言えるだろう。つまり……

  • 生産性の低い事業を続けるのか(不採算商品の撤退は?)
  • 高い給与の社員に生産性の低い仕事をさせるのか
  • 従業員を減らす
  • 変動費(材料費や外注費)を減らす
  • 効果的な設備投資を行う

 

こういった視点を持たなければならない。日本で生産性向上の施策が間違った方に進んでいるのは、人事が旗を振ったために成果に触れず、労働量の削減にメスが入ったことが大きいと言えそうだ。

なぜ日本の労働生産性は低いのか

以下2つのデータを見て欲しい。棒線グラフのOECD加盟国の中で日本の労働生産性はランキングで21位、また1人あたり平均労働時間の表を見ると、日本はアメリカより低い水準で、イタリアと近いところに位置している。

引用:公益財団法人 日本生産性本部(労働生産性の国際比較 2017年版)

引用:独立行政法人 労働政策研究・研修機構データベース(データブック国際労働比較2018)

労働時間がそれほど変わらないにもかかわらず、アメリカやイタリアより労働生産性が低いのはなぜなのか?「利益の大きいビジネスをしているか」の要因が実は大きい。

労働生産性1位のアイルランドは、法人税率を徹底的に下げた結果、欧米企業の本社機能を呼び込むことに成功してGDPを底上げし、労働生産背も上がった。ルクセンブルクは人口100万人にも満たない国だが、利益率が高い傾向の金融や不動産業のシェアが大きい国のため、労働生産性が高いのだ。

ただ労働時間を減らすのでは労働生産性は高まりにくいことが見えてきたのではないだろうか。

日本の場合は何を事業にするかというポイントだけでなく、消費者が良いサービスを高く買わない文化が根付いてしまっている点も労働生産性を下げ留めている要因だ。例えばユニクロは国内では安くて良いものというイメージが先行しているが、海外では品質のいいアパレルメーカーのイメージが強い。日本で値上げを試みたユニクロが失敗に終わるといったニュースが巷で話題になったが、この風土が自分たちの首を絞めているともいえるかもしれない。

日本の労働生産性が低いというテーマについては、様々な意見が飛び交っており、多角的に情報を見るのがよいかと思うが、儲かるビジネス(仕事)をしていくことが労働生産性を高める上で大事だと気づかせてくれる点で重要なデータだと考える。

(参考)労働生産性をさらに分解

労働量と成果だけでは、どこに課題があるか追及するのが難しいため、さらに分解して分析を行う。

付加価値率とは何か

一言でいえば、収益性の高さを表している。売上に対してどれだけの価値を創出しているのかという指標。

労働装備率とは何か

有形固定資産とは、建物や車両運搬具、工具などを指したもので、従業員1人あたりどのくらい有形固定資産を持っているかを示している。製造業では理解されやすいこの指標だが、IT企業あたりはピンとこない指標かもしれない。生産性という点ではソフトウェアの導入によって生産性を上げるイメージが多いはずなのだが、ソフトウェアは無形固定資産に含まれる。ただ有形・無形固定資産共に、原価償却資産となるため、有形固定資産を減価償却資産として考えて生産性向上を考える方法でも大枠問題はない。

有形固定資産回転率とは何か

有形固定資産(あるいは減価償却資産)の活用度・稼働率を示している指標になる。

各指標の考え方

1点重要なのは、労働生産性と設備生産性は両立しないことが多い点だ。例えば、設備投資を行い自動化・効率化を図り、従業員数を削減しようとする取り組みの場合、労働生産性は高まるが、設備は増加しているため設備生産性は下がる形に。なんでもかんでも自動化ではなく、効果が高い有効な設備を投資していかなければならない。

連載ラインナップ

当記事では、Vol.1生産性をあげるメカニズムを解説。次回土台作り、最後に設計プロセスを解説し、生産性向上の進め方概要を伝えていく。

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